この記事では、母乳からの感染と病気のときの母乳への影響、そして母乳への影響の確認方法について解説していきます。
もしあなたが、経母乳感染について、経母乳感染が心配な感染症について、そして薬剤を使用したときに授乳が可能かどうかの確認方法などについて興味がある場合は、ぜひ読み進めてくださいね。
もしママが持病を持っていたり、授乳中に病気になってしまった場合には、母乳感染を心配されることでしょう。
どのような病気で母乳感染の可能性があるのかを、これから詳細に解説していきます。
正しい知識で母乳育児が続けてもらえるように、ぜひこの記事を参考にしてくださいね!
母乳から感染するのはどんな病気があるの?
ママから赤ちゃんに何らかの細菌やウイルスが感染することを、母子感染と言います。
母子感染の種類には、
- お腹の中で感染する「胎内感染(経胎盤感染)」
- お産のときに、産道を通ることで感染する「産道感染」
- 母乳により感染する「母乳感染」
という3つの種類があります。
持病があるママが授乳するときや授乳中に病気になったときには、母乳からの感染を心配されるのではないでしょうか?
しかし、実はほとんどの感染症で授乳が可能です。
多くの感染症は、飛沫感染や接触感染が感染経路であり、母乳中にウイルスが出る病気は少ないからです。
しかし、母乳を介して病気が感染する可能性がある場合には、母乳の制限を考える必要があります。
母乳からウイルスが感染することが分かっている感染症は
- HIV(ヒト免疫不全ウイルス)
- HTLV‐1(成人T細胞白血病ウイルス)
- CMV(サイトメガロウイルス)
の3つです。
HIVが陽性の場合はミルク栄養にして、母乳は与えないことになります。
そして、HTLV‐1が陽性の場合は、ミルク栄養にするか凍結させた搾乳を与えるか、短期間だけ母乳にするかなどを決めていきます。
HIVとHTLV‐1に関しては、陽性であれば妊娠中の血液検査で事前に分かるので、出産前から授乳をどうするかを医師や助産師と相談していくことになります。
生まれてから、いきなり「母乳はダメ!」と言われることはほとんどありませんから、安心してくださいね。
またCMV陽性の場合は、基本的には授乳は問題ありません。
サイトメガロウイルスは、妊娠中に感染すると赤ちゃんに影響がありますが、多くの子どもが感染する病気で、生まれてからの感染で問題になることは少ないからです。
しかし、早産などでかなり小さく生まれてしまった場合には、赤ちゃんに影響する可能性があるため医師に相談しましょう。
ただし、手洗いやマスクはしっかりするのよ!
なにより、母乳には赤ちゃんを守る様々な免疫が含まれています。
ですからもしママが病気になったとしても、ママの抗体を母乳を介して赤ちゃんも受け取れることができるので、それが病気の予防に繋がることもあります。
いろいろな病気から赤ちゃんを守ってくれる母乳ですから、病気だからと簡単に母乳を止めてしまうと、逆に病気に感染するリスクが上がるというデメリットに繋がってしまう場合もあるのです。
一度母乳を止めてしまうと、再び増やすことは難しいですから、病気になったときに本当に母乳を止めるかどうかは、医師等と相談しながら慎重に決めていってくださいね☆
母乳の病気で健康なときとの違いは?どんなこと?
先ほどお伝えしたように、母乳に病気のウイルスが出ることは稀なので、ほとんどの場合はママが何か病気になったとしても授乳に制限がでることはありませんが、ママが飲む薬によっては、授乳を制限することがあります。
薬の作用の一部が赤ちゃんに移行してしまうことで、赤ちゃんに悪影響が出てしまうことがあるからです。
なお一般的に、授乳中に内服等が禁忌となる薬は、抗がん剤の薬・放射性ヨウ素などの放射性物質、アミタオダロンという不整脈の薬のみです。
そして、慎重に投与するべき薬は、抗てんかん薬・抗うつ病・抗不安薬・オピオイドです。
これらの慎重投与の薬の場合は、赤ちゃんへの副作用と母乳育児のメリットを比べてどうするか決めたり、ママの量で授乳が可能かどうかを決めたりします。
このように、赤ちゃんに影響があると明らかにされている薬はとても少ないです。
細かい部分は、実際に主治医と相談して決めることになるので、しっかり確認するようにしましょう。
また、一番注意が必要な薬が市販薬です。
今までの内容であれば、「病気でも意外と授乳って大丈夫なんだ!」「授乳中でも薬を飲んで大丈夫なんだ」と思われたかもしれません。
しかし市販薬には、様々な作用の薬が混ざっていることが多く、作用の強い薬が含まれていることもあるので、注意が必要なのです。
総合感冒薬(かぜ薬)などは注意が必要とされている薬です。
ですので、市販薬は飲まないようにして、必ず病院で授乳中であることを伝えた上で薬を貰うようにしてくださいね。
母乳への影響って?確認する方法はある?
妊娠中や授乳中の内服に関して知りたい場合は、「妊娠と薬の情報センター」を利用しましよう。
このサイトでは、授乳中でも安全に使用できる薬を一覧として見ることができます。
さらに、電話での相談も受けてもらうことができます。
もしあなたが授乳中に飲む薬で不安になったり迷った場合は、ぜひ活用して相談してみてくださいね。
国立成育医療研究センターの妊娠と薬情報センターはこちらからどうぞ☆
今回のまとめ
今回は、母乳からの感染について、病気のときの母乳への影響について、母乳への影響の確認方法について解説してきました。
病気になった場合に赤ちゃんへの感染を心配することは、ママであれば当然のことです。
ですが、母乳にウイルスが出ることはほとんどありませんので安心してください。
しかし、ウイルスは問題なくても、薬の副作用のために赤ちゃんに授乳ができない場合もあります。
詳しくは、主治医に相談して確認するようにしましょう。
母乳にはとても多くのメリットがあります。
母乳は免疫物質が豊富ですし、赤ちゃんの腸内環境も整えてくれるので、将来の病気予防にも大きな影響を与えてくれます。
ですから授乳を続けるかどうかは、メリットデメリットをよく主治医と相談した上で決めるようにしましょう!
そして困ったときは、「妊娠と薬情報センター」もぜひ活用してみてくださいね。