今回の記事では、母乳マッサージの種類はどのようなものがあるのかと助産師しかダメなのかどうか、扁平乳頭はうまく授乳できないといわれる理由や母乳マッサージが必要ないと言われるのはどうしてかについて、詳しくご紹介していきます。
もしあなたが母乳マッサージについて詳しく知りたいと思われる場合は、ぜひ読み進めてくださいね。
母乳マッサージについて調べていると、色々な疑問が出てきますよね?
でも、誰に聞けばいいのか分かりませんし、聞くのも躊躇してしまうようなちょっとした疑問もあるでしょう。
そんな母乳に関する疑問が少しでも解消できるように解説していますので、ぜひ参考にしていただければと思います^^
母乳マッサージの種類は?どんなものがある?
実は「母乳マッサージ」と一括りに言っても、その中にはさまざまな種類があります。
同じ助産師でも、母乳育児への考え方やケアの仕方には違いがあるため、様々な母乳育児を支援する団体が存在します。
代表的な母乳育児を支援する団体は下記の4つでしょう。
- 桶谷式
- SMC式
- BSケア
- 堤式
では、それぞれ詳しく説明していきます。
桶谷式
母乳マッサージの中ではかなり有名で、名前を聞いたことがある方も多いでしょう。
正式名称は「桶谷式乳房マッサージ」といい、桶谷そとみ助産師が第二次世界大戦中に、栄養不足で死んでいく乳児を目の当たりにして「母乳さえ出ていれば…」という願いから生み出したマッサージ方法です。
その特徴としては、
- 乳房の基底部の伸縮性を良くし、母乳をスムーズに出す独自のマッサージをしていること
- 授乳の時の適切な抱き方や飲ませ方などについても指導していること
- 妊娠中に特別な乳房のケアが必要ないこと
- 母乳育児のための栄養面での指導を積極的に行っていること
が挙げられ、全国に約300か所の相談室があります。
もし興味をもち、桶谷式で受けてみたいと思ったら、近くの相談室を下記のサイトから確認してみてください^^
桶谷式の内容については当サイトでもかなり詳しく書いていますから、知りたい場合は↓の桶谷式のカテゴリーから確認してみてください^^
SMC方式母乳マッサージ
2つ目はSMC方式です。
ちなみにSMCとは、self-mamma-control(母乳自己管理)のことで、ママ自身で乳房の管理・ケアをできるようにと、諏訪マタニティークリニックの院長医師が考えた方法です。
そしてその後、皮膚科、外科、小児科などの知識をさらに含めて「乳房管理学」として、新たな学問分野が確立されました。
特徴としては、
- 妊婦さんが自らマッサージをする方法
- 産前から、乳房基底部と乳頭・乳輪部マッサージを行うこと
- 産後は授乳前の準備体操として行うこと
- 母乳が十分に出るようになれば乳輪部マッサージのみ行うようにすること
が挙げられます。
特徴にもあるように産前からのケアを勧めていますから、SMC方式に基づいて妊娠中のマッサージを指導する病院も多いです。
SMC式の母乳マッサージを行いたいけれど、産院や病院などで指導されていないという場合は、正式な方法を確認してから行うようにしましょう。
自分で判断してSMC方式の母乳マッサージを始めると、乳房が傷ついたりと悪影響になることもありますから、避けてくださいね。
詳しくSMC方式が知りたい場合は、下記の公式サイトを確認してみてくださいね。
BSケア
BSケアは、福岡の開業助産師・寺田さんを中心に複数の助産師さん達が立ち上げた母乳育児支援プロジェクトです。
「赤ちゃんの力」と「乳房の声」に耳を傾けるケアをおこなうことで、母乳育児を促進しています。
その特徴としては、
- 母乳育児がうまくいっていると感じている場合は、基本的にはケアは必要ないと考える
- 母乳育児の要は赤ちゃんの吸啜(きゅうてつ)にある
- 乳児の吸啜(きゅうてつ)だけでは乳房に起こっている現象を解決できない場合に、乳房のケアを行う
- 助産師の手で赤ちゃんが吸いやすい柔軟な乳首にする
という考え方があります。
吸啜(きゅうてつ)とは、赤ちゃん乳首を口に入れて、口を動かして飲むことを言います。
BSケアでは、「母乳育児がうまくいっているときにはケアをしない」という考え方なので、必要と感じない場合は母乳マッサージを行いません。
受けてみたいときは全国にBSケアプレゼンターがいますので、下記のサイトで確認してみてくださいね。
堤式乳房マッサージ法
4つ目は、助産師が鍼師・灸師・按摩マッサージ・指圧師の免許を取得して考案した、母乳マッサージの方法です。
その特徴は、
- 東洋医学の観点を含めたマッサージ法
- 乳房をマッサージするだけでなく、産後のお母さんの育児による精神的な疲労や身体的な疲労からくる身体の変調も見ながら行うこと
- 乳房だけをみていてはトラブルの原因はわからないという考え
- 母乳マッサージだけでなく、赤ちゃんとお母さんの状況を見ながら生活指導、改善、ストレス軽減など幅広い観点でアドバイスしていること
が挙げられます。
この堤式は、母乳のトラブルを乳房の問題だけと捉えるのではなく、お母さんの身体的・精神的側面も考えてアドバイスを行います。
全国に認定所がありますので、気になる場合は下記より確認してみてくださいね。
どの母乳マッサージもそれぞれに特徴があるから、気になる場合は調べてみるといいわよ!
母乳マッサージの助産師は?いないとだめなの?
実際に母乳マッサージの施術を受けるとき、一般的には「助産師さんがしてくれる」というイメージがあるのではないでしょうか?
その通りで、母乳マッサージを産院や助産院で受ける場合は、ほとんどが助産師の施術となります。
「桶谷式」や「堤式」などのライセンスを持っている助産師の場合は、持っている考えに基づいてケアをしてくれることになります。
もし、ライセンスがなかったり手法の講習を受けていなかったとしても、母乳マッサージを行うことはできます^^
ただ助産師以外でも母乳マッサージが出来る人がいるようです。
それが、鍼師、灸師、按摩マッサージ師などの資格を持っている場合です。
この場合の母乳マッサージは、助産院で行うのではなく鍼灸医院などで行います。
これら上記の国家資格をもつ場合なら施術をすることに問題ありません。
先ほど紹介した「堤式」も、助産師の資格を持ちながら、東洋医学の鍼師、灸師、按摩マッサージ師圧師の資格を取得し、東洋と西洋の知識を融合してつくられたものでしたね。
助産師は女性でないとなれないのですが、按摩マッサージや指圧師さんは男性もいます。
母乳マッサージは乳房を直接触るので、鍼灸院などでマッサージを受けるときには、女性か男性か、男性の場合どのようにケアをしているのかを事前に確認しておく方が、気兼ねなく受けることができて安心ですよ^^
母乳マッサージ 扁平乳頭では?うまくできないの?
続いて、扁平乳頭について説明していきます。
扁平乳頭とはどのような状態のことを指すのでしょうか。
まず乳頭には様々なタイプがあります。
- 正常乳頭
- 短乳頭
- 扁平乳頭
- 陥没乳頭(仮性・真性)
- 巨大乳頭 など
正常乳頭以外は、赤ちゃんの口の大きさや吸う力、また乳頭の硬さなどによって、赤ちゃんが吸うことが難しい場合があります。
その中で扁平乳頭とは、乳頭が乳輪部の表面に突き出ず、ほとんど平らなタイプの乳頭のことです。
そして、残念ながら扁平乳頭は赤ちゃんが吸いにくい乳頭です。
ただ全ての赤ちゃんが吸えないわけではありませんし、授乳ができないというわけでもありません。
乳頭の伸びや柔らかさが一番大切ですので、扁平乳頭でも柔らかくて伸びる場合は、赤ちゃんが吸い付けることも多いです。
また、赤ちゃんが吸っているうちに乳頭の形が変わってくることもあります。
赤ちゃんが吸いやすいのは、乳房表面からの長さが0.8~1cmくらいの乳頭です。
どんな乳頭でも、妊娠中からの手入れと工夫次第で、多くの場合、赤ちゃんに吸わせられるようになります。ママの乳頭は赤ちゃんにとって唯一のものです。他のママと比べたり、母乳で育てるのをためらったりする必要はありません。
引用 初めてママの母乳育児 安心BOOKより
もし扁平乳頭だとわかっている場合は、少しでも柔らかく伸びを良くするために、妊娠中から無理のない範囲で手入れをしていきましょう。
また乳頭を吸引し乳頭を補正するという、妊娠中から使えるグッズもあります。
しかしこれは使い方に注意が必要ですから、産院や助産院に相談して、必要があれば使用するようにしましょう。
そして、産後に赤ちゃんが上手く吸えない場合は、乳頭保護器をいう、カバーを付けて授乳する場合もあります。
赤ちゃんの口が大きくなってくるといずれは直接吸えるようになるため、それまでの補助として使用します。
ですから扁平乳頭だからと諦めずに、ぜひ助産師の助言を受けながら、赤ちゃんとママにとって良い授乳法を見つけてくださいね。
そして早めのケアが有効ですので、可能であれば妊娠中からマッサージを行うようにしましょう。
母乳マッサージには基底部!その理由は?
次に、母乳マッサージでの基底部が重要になることについてお話していきます。
先ほど、母乳マッサージの種類の中でも出てきた言葉ですが、母乳マッサージでは基底部がとても重要になってきます。
特に桶谷式やSMC方式では、基底部を重要視しています。
では、なぜ基底部が重要なのでしょうか。
それは、基底部が柔らかい方が母乳がよく出るようになるからです。
おっぱいを作るところは、乳腺組織で、(一部抜粋)乳腺組織を支配している血管は基底部と呼ばれる乳房の土台の部分を通っており、その土台の部分で血管の流れを悪くするようなことがおきると、母乳の出は次第に悪くなります。
(諏訪マタニティークリニックHPより http://e-smc.jp/pog/ob-pediatrics/breast-clinic/mamma-control.php)
引用 諏訪マタニティークリニック
↑にも書いてありますが、乳房の基底部が柔らかいと乳房全体の血液の循環がよくなり母乳がスムーズに作られるため、おっぱいが張って痛くなるなどのトラブルを防ぐことができます。
したがって、乳房の基底部は母乳育児のためには重要な場所なのです^^
母乳の出にくい人、よくトラブルを起こす人は、この基底部がかたくなって、ゆるみがなくなっているのです。また現代人は急激な食生活の変化や運動不足、肩や腕を部分的につかう仕事をする人が多く、基底部は硬くなりがちです。基底部をやわらかくすると、乳頭と乳輪の間の乳頸部がよく伸びるようになって、赤ちゃんが母乳を飲みやすくなります。
引用 桶谷式 母乳ですくすく育てる本
また基底部マッサージは主に産後に行うものなのですが、実は妊娠中の基底部マッサージも有効とされています。
妊娠中から基底部マッサージをしておくことで、産後の母乳の分泌が良くなるとされているのです。
そして、実は日々の生活の中でおっぱいが揺れることも自然の基底部マッサージになります。
ですから、きつい下着を付けておっぱいの動きを抑えてしまうことは、産後の母乳の分泌に悪影響です。
家の中では付けないほうが良いでしょうし、出かけるときも支える程度の下着を選ぶほうが、母乳育児にとっては良いですよ。
乳房基底部のマッサージについては下の記事で詳しくご紹介していますから、参考にしてみてくださいね^^
母乳マッサージが必要ない?そんな場合もあるの?
最後に「母乳マッサージが必要ない」と言われる場合についてお話していきます。
必要ないと言われるケースはあるんでしょうか?
母乳マッサージは一般的には母乳の出をよくしたり、母乳育児のために欠かせないものですが、必要ない場合も実はあります。
それは妊娠中のマッサージです。
母乳マッサージの種類のところでお話ししてきましたが、母乳マッサージに対しては、助産師の中でも考え方や方法に違いがあります。
例えば、SMC方式では産前からマッサージを行うことを大切にしていますが、一方で桶谷式では産後に独自のマッサージ方法を使用すれば基底部のやわらかいおっぱいを作ることが出来ると考えているため、産前にマッサージは必要ないとしています。
このようにそれぞれの母乳マッサージで考え方が違うため、「産前の母乳マッサージが必要かどうか」に違いが出てきます。
どの方法が正しいとは言い切れませんので、産院の助産師に相談し、納得できる方法を取り入れていただければと思います。
ただ妊婦さん全員に言えることは、妊娠中に切迫早産になったときやお腹の張りを感じやすい場合はマッサージをしてはいけないということです。
もしあなたが今妊娠中で、乳頭を刺激するとお腹が張りやすかったり、切迫早産と診断されている場合は、母乳マッサージをすることはやめましょう。
妊娠中にマッサージをすることが難しくても、臨月に入ってからマッサージをすることでも十分間に合いますし、帝王切開などで妊娠中はできなかったという方も産後早めの時期から頑張れば、大丈夫です。
まずは妊娠を乗り越え、その後積極的にケアをしていきましょう。
切迫早産について詳しく知りたいときは↓の記事を読んでみてください^^
母乳マッサージはあくまでリラックスして行うことが大切です^^
お腹の張りを感じる時や切迫早産と診断された場合以外でも、
- お腹が張りそうで不安がある
- 身体が不調で、ゆっくりマッサージができない
- 母乳マッサージ自体が、痛くてストレスを感じる
などのときには無理をする必要はありません。
可能な範囲で行えば十分です。
そういう意味で、「母乳マッサージをする必要はない」と言われることがあるのでしょう。
今回のまとめ
今回は、母乳マッサージの種類はどんなものがあるのかと助産師さんしかダメなのかどうか、扁平乳頭はうまく授乳できないといわれる理由や母乳マッサージが必要ないと言われるのはどうしてかについて、詳しくご紹介してきました。
母乳育児を支援する団体には、それぞれ方針に違いがあり、ケアの方法や考え方にも違いがあります。
複数ある中から自分に合う母乳マッサージを見つけられるといいですね^^
また、乳頭の基底部は母乳育児に大切な部分なので、産後はケアできるといいですよ。
妊娠中は、無理のない範囲でのケアで構いませんので、切迫早産やおなかの張りを感じやすいときは母乳マッサージをしないようにしてください。
ぜひ参考にしてくださいね^^