この記事では、まんまる抱っこで股関節脱臼になってしまうのか気を付ける事と、まんまる抱っこができる抱っこ紐はどんなものか、スリングでのまんまる抱っこのやり方、最近よく見かけるコニーについても紹介したいと思います。
①まんまる抱っこをするときに股関節脱臼について気を付けることがわかる
②まんまる抱っこができる抱っこ紐がわかる
③まんまる抱っこをスリングでやる方法が動画でわかる
④まんまる抱っこができるスリングを選ぶポイントがわかる
⑤コニーの抱っこ紐はまんまる抱っこができるのかわかる
生後の赤ちゃんについて気を付けることの一つに、股関節脱臼という疾患があります。
産後、オムツ交換をするときに、助産師から「足を引っ張らないようにね」と言われたりして乳児の股関節脱臼知ることも多いと思います。
股関節脱臼を予防するために、「抱っこ紐などで横抱きはしないように」「赤ちゃんのおくるみは緩く」と指導する小児科医や助産師もいます。
でもそれとは別に、まんまる抱っこを推奨する専門家もいたりして、どっちがいいの?と迷う人もいるかもしれませんね。
そこで、まんまる抱っこは本当に股関節脱臼を引き起こすのか、股関節脱臼にならないために注意する事についてお話していきます。
また、抱っこ紐は、赤ちゃんとのお出かけに、もはや必須アイテムです。
抱っこ紐もたくさん種類があって選ぶのが難しいですよね。
外出先でもまんまる育児をしたいときに、どんな抱っこ紐がオススメなのか、どんな風にやるのかも、お話していきます。
まんまる抱っこは股関節脱臼になる?注意点は?
赤ちゃんの股関節脱臼って?
まずは、股関節脱臼について説明します。
赤ちゃんに起こる股関節脱臼のことを、先天性股関節脱臼と言います。
名前だけ読むと、生まれつき股関節が外れていると思われるかもしれませんが、実は生まれた後に何らかの理由で外れてしまっているケースがほとんどです。
赤ちゃんの股関節は、大腿骨(ふとももの骨)の丸い先端が、臼蓋(骨盤にあるカップをひっくり返した屋根のような形)にはまり込んで成り立っています。
この大腿骨の先端と臼蓋が、①外れてしまっているもの②外れかかっているもの③位置は良いがカップの覆いが悪いものを合わせて、股関節脱臼と呼んでいます。
先天性股関節脱臼の原因は、生まれつき股関節が緩いところに、股関節が外れやすくなるような力や動きが加わって起こります。
赤ちゃんのうちの股関節脱臼は痛みもなく起こることがあり、歩き始めてから初めて気付くというケースもありますので、注意が必要です。
股関節脱臼を起こさないために、赤ちゃんの正しい姿勢を知っておくことが大切です。
産まれたばかりの赤ちゃんは、足がM字(がに股)になっているのが正しい姿勢です。
股関節脱臼を予防するには、このがに股を無理に伸ばさず、足の動きを制限しすぎないことが大切です。
股関節脱臼を起こさないための注意点は?
赤ちゃんの正しい姿勢を保つために注意点があります。
それは、
- 抱っこをするときは、足をそろえるのではなく、M字にひらくようにすること
- 足の動きを締め付けて制限しないようにすること
- おくるみ・お雛巻きやスリングを使う時は、足が伸びないよう十分に注意しましょう
- 向き癖があるときは反対側の足の姿勢に注意すること
です。
日本小児整形外科学会でも、股関節脱臼を予防する為にパンフレットを公開しています。
その中には、以下のように書かれています。
仰向けで寝ている時は; M字型開脚を基本に自由な運動を
両膝と股関節を曲げてM字型に開脚した状態を基本として、自由に脚を動かせる環境をつくりましょう。両脚を外から締めつけて脚が伸ばされるような、きついオムツや洋服はさけましょう。
抱っこは;正面抱き「コアラ抱っこ」をしましょう
赤ちゃんを正面から抱くと、両膝と股関節が曲がったM字型開脚でお母さん(お父さん)の胸にしがみつく形になります。この正しい抱き方は、あたかもコアラが木につかまった形であることから「コアラ抱っこ」とも呼ばれています。同様に、両膝と股関節がM字型に曲がって使える「正面抱き用の抱っこひも」の使用も問題ありません。
横抱きのスリングは開脚の姿勢がとれず、また、両脚が伸ばされる危険もあるため、注意が必要です。
向き癖がある場合は; 反対側の脚の姿勢に注意しましょう
向き癖方向と反対側の脚が立て膝姿勢にならず、外側に開脚するような環境を作ってあげるよう留意しましょう。赤ちゃんには常に向き癖の反対側から話しかける、向き癖側の頭から身体までをバスタオルやマットを利用して少し持ち上げるなどの方法が提唱されています。それぞれの赤ちゃんに合った方法を工夫してみましょう。
本来、まんまる抱っこは股関節に負担を与える抱き方ではありません。
正しいやり方でやれば、M字の形に足が開いているので、股関節に負担はかかりません。
お雛巻きやスリングを使う時も、股関節をM字に開いた状態にしてあげるといいです。
足が伸びた状態で締め付けてしまわないようにすることが重要です。
上手くM字に足が開かないなという時は赤ちゃんの股関節の体操をしてみると良いかもしれませんね。
体操について、詳しくは「まんまる抱っこって?抱き方は?授乳の仕方についても」にて解説しています。
もちろん、横抱きスリングを使う時は注意が必要と言っていますので、赤ちゃんがどうしても嫌がってしまう、うまくできないという場合には無理をしないほうがいいでしょう。
まんまる抱っこを抱っこ紐でするには?タイプ別に紹介!
抱っこ紐には、大きく分けてもベビーキャリア、ヒップシート、ベビースリング、ベビーラップなどいろんな種類があります。
- ベビーキャリア
エルゴやベビービョルンといった、肩と腰で荷重を負担するタイプです。
縦抱き・おんぶができたり、中には専用シートを入れて横抱きも可能なものもあります。
こちらは新生児から使えるものがあります。
- ヒップシート
肩または腰に装着して、台座などに子どもを載せて使用します。お座りができてから使用するものがほとんどです。
- ベビースリング
大きな一枚の布を調節して、包み込むように使用します。
授乳ケープとして使えるという商品もあります。
ベビーキャリアなどにくらべると、値段も手ごろなものが多いです。
- ベビーラップ
最近流行してきたコニーの抱っこ紐はこれに相当します。
赤ちゃんを包み込む設計で、赤ちゃんとの密着度が高いのが特徴です。
この中でも、まんまる抱っこに一番向いているのは、③のスリングタイプです。
まんまる抱っこのスリングでのやり方は?動画であわせて解説!
首が座って安定するまでは、まんまる抱っこをするときは横抱きの方がぐらぐらせず安定します。
スリングで横抱きのまんまる抱っこをするには以下の手順で行います。
こちらはリングタイプのスリングの使い方です。
- リングが胸のまえにくるように、スリングをななめにたすき掛けします
- ハンモック部分の内側の布が大人の体にピッタリになるようにテールの外側の布を引っ張ります
- ハンモックの外側の布を、大きく開きます
- 頭はリングと反対側になるように、赤ちゃんをまんまる抱っこします
- 片方の肘で赤ちゃんの首を支え、肘ごとハンモックの中へ入れます
- 反対の手で布の上から赤ちゃんの首と背中を支えながら、スリングの中の肘をぬきます
- 首を支えるサポーターなど使う時はこの時に入れてあげましょう
- テールの内側の布を引っ張って、ハンモックの外側の密着具合を調整します
横抱きのイメージの多いスリングですが、実は縦抱きや前抱きなどいろいろな抱き方をすることができます。
横抱きのスリングは注意が必要、と言われてしまっては不安で使えないと思っていた人は、ぜひいろんな抱き方を試してみてください。
抱き方を紹介している動画がありますので、そちらもぜひ合わせてご覧くださいね。
まんまる抱っこのスリング選び★オススメを紹介★
ここからは、スリングを選ぶときのポイントについてお話ししていきます。
抱っこ紐全般に共通しているのが、肩ベルト(肩パッド)に相当する部分の厚みがあり幅広でしっかりしていると、食い込みにくいので抱っこの負担が少なくおススメです。
また、スリングはハンモック部分を抱っこする保護者や赤ちゃんの体格に合わせて調整するため、伸縮性のある布を採用されているものだと、赤ちゃんの動きに合わせて柔軟にフィットしてくれ安定感抜群です。
リングありタイプの場合は、リングの強度や調節する際の布の滑りの良さ・調節した後の安定感なども大事です。
この中でのオススメは、先ほどの動画内で紹介していた「あっきースリング」です。
こちらはトコちゃんベルト専門店MAMACHOICEで購入できます。
お値段は2万円前後なので、有名ベビーキャリアに比べると手を出しやすい値段ではあります。
だけどまだちょっとお値段が高いな、という方は、もうちょっと安価なものからお試ししてみてもいいかもしれませんね。
まんまる抱っこはコニーでもできる?画像で解説
コニーは、最近よく見るようになったベビーラップの抱っこ紐です。
赤ちゃんとの密着度が高く、肩が腰の負担が少ないのが人気です。
こちらのコニーの抱っこ紐、縦抱きやおんぶができるとのこと。
また値段も安価なので、初めてのお子さんを持つ家庭の方も、お試ししやすいです。
すでにお持ちの方も多いかもしれません。
まんまる抱っこはできるのか?とのことですが、結論から言うと、「できる」です。
コニーの抱っこ紐は、赤ちゃんが小さいうちは「新生児抱き」という方法で装着するように説明があります。
画像を見てもらうと、このような抱き方になります。
画像引用:© 2022 コニー | Konny
これが、まんまる抱っこの姿勢にとてもよく似ているのですが、新生児のうちは首が座っておらず、ぐらぐらします。
首にサポーターがないので、長時間の抱っこになってくると、重力の影響で姿勢が崩れやすいです。
崩れた姿勢のまま抱くのは、赤ちゃんの首や背中にも負担がかかってきてしまいます。
首が座っていないうちは、横抱きのまんまる抱っこが一番やりやすいので、スリングがオススメです。
今回のまとめ
まんまる抱っこは、本来ならば、股関節脱臼を起こすような抱き方ではありません。
M字に足が開くように意識してやっていきましょう。
股関節脱臼を予防するには、次の事に注意しましょう。
- 抱っこをするときは、足をそろえるのではなく、M字に開いてさせましょう
- 締め付けが強い服や、足の動きを制限するような服を着せないようにしましょう
- おくるみ・お雛巻きやスリングを使う時は、足が伸びないよう十分に注意しましょう
- 向き癖があるときは、反対側の姿勢に注意してあげましょう
どうしても難しければ、まんまる抱っこにはこだわらず、安全に抱くことを目標にしましょう。
まんまる抱っこが一番やりやすい抱っこ紐は、スリングという結論になりました。
スリングには安価なものも多いので、試しにまんまる抱っこで育児したいなと思っている人は、検討してみてくださいね。