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母乳のアルコールは何時間?影響やチェッカーの有効性について助産師の視点から✩

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「妊娠中はお腹の中の赤ちゃんのためにアルコールは控えましょう」と聞いたことがあると思います。

それでは産後はどうでしょうか?

ちょっとくらい大丈夫!やっぱりダメ・・・いろんな意見があってハッキリしなくて困ってしまいませんか?

母乳を飲ませたいと思っているママでもアルコールを飲みたいシーンだってあります。

だけど、「アルコールを飲んだ時の母乳のアルコール濃度はどれくらいか」「飲酒後はいつから母乳をあげて良いのか」「アルコールを含む母乳を飲んだことによる赤ちゃんへの影響はどうなのか」など赤ちゃんへの心配が目白押しだと思います。

それに加えて、最近は母乳に含まれるアルコールを検知するアルコールチェッカーが出てきたので、「母乳のアルコールチェッカーは本当に安全量を判定してくれるのか?」が気になりますよね。

まず「母乳に含まれるアルコール濃度はどれくらいか」についてですが、実はお母さんの血液中に流れるアルコール濃度とほぼ同じと言われています。

そして「飲酒後はいつから母乳をあげて良いのか」、それはアルコールが代謝される約3時間以降です。

「アルコールを含む母乳が赤ちゃんに与える影響」は、危険な量であれば眠りがちになったり筋肉が低下したり、成長不良を起こすこと、アルコールの濃度が高ければ母乳でも急性アルコール中毒を起こすことがわかっています

これでは母乳に含まれるアルコールが安全量になるまで注意しなければいけませんね。

そこで「アルコールチェッカーについて」ですが、これが検知するアルコール濃度は極微量であることを示しています

その中でもレビューが良かった商品はこの2つ!

ドクターズチョイス ミルクスクリーン

ただし、これに関する助産師の意見はかなり辛口で、チェッカーには頼りすぎないことが懸命でしょう。

たまにの飲酒の時、どうにも心配だなあという時に活用する程度に限っておくのが無難です。

今回の記事ではもう少し詳しく解説していきますので、長い授乳期間を少しでも快適に過ごせるようにアルコールとの付き合い方も考えて行きましょう♪

母乳のアルコール濃度!実際にはどのくらいなの?

母乳のアルコール濃度!実際にはどのくらいなの?母乳のアルコール濃度!実際にはどのくらいなの?

母乳のアルコール濃度は血中濃度とほぼ同程度と言われています。

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、血中濃度が0.05~0.10%で「ほろ酔い」としていますので、ママがほろ酔い状態になっている母乳には同じだけの濃度のアルコールが含まれていることになります。

アルコールの中枢神経への作用は血中濃度によって決まるため、酔いの程度も血中濃度と相関します。血中濃度(%)が「0.02~0.04:爽快期」「0.05~0.10:ほろ酔い期」「0.11~0.15:酩酊初期」「0.16~0.30:酩酊極期」「0.31~0.40:泥酔期」「0.41~:昏睡期」というのが血中濃度と酔いの程度の目安です。

標準的には日本酒3合程度飲酒すると酩酊初期になり、まともに歩けなくなって嘔気や嘔吐も出現するとされます。またこの血中濃度(%)を5倍した数字がほぼ呼気中濃度(mg/L)となります。

引用:厚生労働省のe-ヘルスネット

1回で200ml程の母乳を飲む赤ちゃんなら、アルコール血中濃度が0.10%の母乳を飲めば0.2g(=200mg)のアルコールを摂取してしまうことになりますね。

アルコールの母乳への移行時間について✩飲んだ時はいつから注意?

アルコールの母乳への移行時間について✩飲んだ時はいつから注意?アルコールの母乳への移行時間について✩飲んだ時はいつから注意?

それでは、飲酒した場合はいつから母乳に移行してしまうのか。

もしかしたら食事を吸収するのにかかる時間のイメージでいる方も多いかもしれません。

実は、アルコール摂取後の母乳への移行時間は飲酒直後から始まります。

アルコールの吸収は胃や小腸から行われます。(胃に比べると小腸の方が吸収が速いです)

食事は吸収しやすい糖やアミノ酸などに分解する時間がかかりますが、アルコールはそのまま吸収され血液と一緒に体内を流れるためです。

母乳は血液から作られているので、アルコールを含む血液から作られた母乳はそのままアルコールを含みます。

つまり裏を返せば、アルコールがママの体から完全に代謝されてくれれば、その後生産される母乳にはアルコールが含まれないと考えられます。

アルコールは飲酒後1時間に血中濃度がピークになり、文献によっては飲酒後2~3時間あければ授乳に問題はないとしているものも見受けられますが、赤ちゃんへの影響についても心配ですよね。

このあともう少し詳しく説明していきます☆彡

母乳とアルコールは何時間あければいい?一般的な医学知識を確認!

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ママの体格や固有の肝臓の機能によっても違うため、同じ人でも体調によって変動がみられることが予測されます。

目安程度ですが、アルコールが抜けるのにかかるおおまかな時間は

純アルコール量(g)÷(体重×0.1)と言われています。

アルコール度数5%のお酒350mlを摂取した場合の純アルコール量は17.5gなので、体重50kgのお母さんなら17.5g÷(50kg×0.1)=3.5時間となります

この計算式に則って考えると下の表のようになっていきます。

体重 お酒1 お酒2 お酒3
45㎏ 3時間52分 7時間46分 11時間40分
50㎏ 3時間30分 7時間 10時間30分
55㎏ 3時間10分 6時間21分 9時間32分
60㎏ 2時間55分 5時間50分 8時間45分
65㎏ 2時間41分 5時間22分 8時間4分
70㎏ 2時間30分 5時間 7時間30分
75㎏ 2時間20分 4時間40分 7時間

また、アルコールの血中濃度の変化についてグラフにしたものもありますので見てみてください。

アルコール血中濃度と時間のグラフアルコール血中濃度と時間のグラフ

引用:サッポロホールディングス株式会社

ただし、お酒の種類や度数によって含まれる純アルコールの量が違いますので注意しましょう。

これ以外にも、飲酒後5時間ほどで代謝されるという専門家もいました。

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その他12時間後なら安全、24時間後なら安全、という風に語られる説もありますが、これについては医学的根拠はなく、「とりあえず安全と思われる目安」と見ているようです。

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では実際にアルコールを含んだ母乳を飲んだ赤ちゃんへの影響が心配ですよね。

実を言うと、新生児は肝臓の機能が未熟なため、アルコールを大人と同じようには代謝することができません

ところが、赤ちゃんへの影響が出ないとされる純アルコールの安全域についてはまだ研究段階でデータがありません

しかし、ほんの少量のアルコールが赤ちゃんに多大な影響を与えた、というデータは今のところありません。
ただし、オーストラリアのある研究では、母親のアルコール摂取量が多い子ほど、6~7歳の時点で、思考力・推察力が低下する(学習能力に影響がある)という結果が出ています。

それ以外にも眠りがちになったり、筋肉の低下、低身長や低体重などの発育障害を引き起こす可能性があるとされています。

また、摂取したアルコールの量が多ければ赤ちゃんであっても急性アルコール中毒などの症状を起こすことがあります。

これは母乳であっても起こり、海外ではこの母乳による急性アルコール中毒で死亡した例もあります

赤ちゃんへの影響についてはこの記事でも触れているので、読んでみてください。

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赤ちゃんへのことを考えると、アルコールを飲まないでいた方が無難というのは、そのとおりなのでしょう。

母乳のアルコールチェッカーは安全?検知される濃度の解釈について助産師の意見を募ってみました!

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アルコールは飲みたいけど母乳はあげたいと思っている方、インスタ等のSNSでも広告を目にすることが増えてきた、母乳のアルコール濃度チェッカーについて気になっているのではないでしょうか?

アメリカのFDA承認の家庭用チェッカーが出てきたことで、家庭でも気軽にチェックできる、というのが多くのお母さんの支持を受けているようです。

今回は二種類のチェッカーの情報を確認してみました!

①ドクターズチョイス

こちらは0.02%のアルコールを検知してくれるそうです。

この0.02%というのは、血中濃度で言うところの爽快期以下の度数ですね。

②ミルクスクリーン

こちらのミルクスクリーンというチェッカーは13.5mg/dlのアルコールを検知するようですね。

でも0.02%とか13.5mg/dlってどのくらいなの…とイメージできないですよね。

先程も話した通り、月齢の進んだ赤ちゃんは1回の授乳で200ml飲むこともあります。

そのうちの0.02%ということは、200mlの母乳中に0.04g(40mg)のアルコールを含むと解釈します。

13.5mg/dlなら200mlの母乳に換算すると0.027g(27mg)のアルコールを含むということです。

ほろ酔いお母さんの母乳に含まれるアルコールは0.05%~0.10%(0.1g~0.2g/母乳200ml中)としていましたから、それよりずっと少ない量が検知できるようです。

50kgの大人の体格と7kgの赤ちゃんの体格と比べると

お酒1杯(純アルコール17g)÷50kg=0.34

アルコール0.02%の母乳200ml(純アルコール0.04g)÷7kg=0.0057

となりますので、体格で均すと大人の体格に比べ1/60程度のアルコールで検出しているということでしょうか。

実際にこの数字を見せて周囲の助産師仲間に意見を募ってみたところ、

「そもそも赤ちゃんへの安全量が確立されていない」

「赤ちゃんの未熟な肝機能に対して大人の1/60とは比較できない」

「(人種的な違いも含めて)アメリカのFDAの基準と同一にはできない」

「母乳は授乳の前後で味や成分が変わるのでアルコール濃度のピークに作られた母乳の濃度を考慮する必要がある」

※アルコールチェックする母乳は搾乳の最初のものを使うか、後のものを使うかで違う結果が得られるのではないか、という意味です。

など非常に辛口な意見がみられました

土俵の違う話にはなりますが、実際にアメリカの酒気帯び運転の基準は、血中アルコール濃度が0.8mg/mlであり、日本の0.3mg/mlとは倍以上の違いがありますものね。

友人助産師達の保守的な意見にも、納得です。

ということで、このブログでのわたしの意見としては、アルコールの常用を勧めるものではなく、アルコールチェッカーには頼りすぎないことが懸命、と考えています。

また、レビューを読んでいると信頼できない商品もあるようです。

中でも、粉ミルクでも陽性反応がでた、アルコールを摂取したが陰性だった、などのレビューが目につきました。

(そのため、この記事ではそういった試験キットはご紹介していません)

さらに、試験時間をすぎての判定は有効にならないので、検査後1時間してからチェッカーが黒く変色(陽性反応)するなどして誤解する方も多いようです。

手や容器・キットに付着した消毒用アルコールまでも検知してしまいます。

まだまだ海外製品が主流のため、説明書きがわかりにくく誤った方法でチェックしてしまうこともありそうです。

使っていく場合には、取り扱い方法をよくよく確認しましょう。

ストレスを溜めず楽しい授乳ライフを!

授乳と飲酒についてはお母さんの意見が尊重されるようになってきています。

ハラスメント規制が敷かれ、飲酒を断ることもできるようになってきたし、節度を守れば絶対悪とも言われなくなりました。

アルハラだけでなく、マタハラについても取締の対象だからです。

それでも、わたしは上の子が2歳になるまで授乳していたので、飲み会に行ってお酒を飲まずにいると「早く断乳しろ」と言われることもあり、授乳について他人に口を出されるのが苦痛でした。

授乳中の習慣飲酒を肯定するためのものではありませんが、アルコールチェッカーもいざという時にはお母さんの心の安心になるかもしれません。

習慣的に飲酒を検討されている方は、ミルクを使ってうまく付き合っていくことも考えていいでしょう。

わたしもお酒は好きです。

でも我が子のことはもっともっと好きです。

できればノンアルコール表示のものを選ぶようにはしていますが、それでも特別な機会などで飲みたい時(飲んだほうが楽な時)もあります。

以上のことを踏まえて、わたしが飲酒と授乳を両立させるために実践していた方法は以下のとおりです。

  1. 離乳食を開始しており母乳に栄養の殆どを頼る必要がなくなってから
  2. 飲酒は子どもの授乳時間が5時間以上空くようになってから
  3. 量は缶ビール1杯程度など酔った実感のない程度に留める
  4. ノンアルコール・低アルコールのものを選ぶ
  5. アルコール血中濃度のピーク時に作られた母乳を捨てるため、飲酒3時間後に搾乳したものを廃棄して、新しく作られた母乳を与える

お酒を飲まなければ悩む必要のないことなのかもしれませんが、人によっては数年におよぶ授乳期間です。

不要なストレスを溜めないようにしながら授乳ライフを過ごして行きましょう。